【東京の大岡山小学校5年生からの手紙】
初めてお手紙を差し上げます。
ぼくは、大岡山小学校5年1組の○○晃太です。
ぼくたちのクラスでは『食料生産をささえる人々』という社会科の単げんで、
農家の人たちはどんな工夫や苦労をしているのかを調べることになりました。
魚沼産のお米はたいへん味のよい米で、いつもぼくは食べています。
日本でこんなにおいしいお米が作られ続けていることは、ぼくにとってもうれしいことです。
そこでぼくは、農家の人々がどのような工夫をしているのかを調べさせて
いただきたいのです。
●1つ目は、DNA鑑定はどうやっているのかです。
それは、社会の教科書にDNA鑑定と書いてあったからです。
●2つ目は、米を作るときの工夫です。
あんなに美味しいお米ができるまでの事を知りたいからです。
お返事を5月中にいただけるとありがたいです。
どうぞよろしくお願いします。
大岡山小学校5年1組 ○○晃太
【覚張よしひろの晃太さんへの返事】
お手紙ありがとう。又、魚沼コシヒカリを食べていただいて本当にうれしいです。
私は、覚張よしひろです。新潟県魚沼市長堀新田299番で、田を1.2ha耕作し、
魚沼コシヒカリ(減農薬・有機肥料)で栽培しています。
農場名は:ガク・グリーンファーム広瀬です。
私のホームページはhttp://www14.plala.or.jp/gakuhari
晃太さんの質問に、うまく答えられるか自信がありませんが、
一生懸命に書いてみます。
第1の質問、DNAの
(1)今、魚沼コシヒカリと称して、他の県の米を混粒して、販売されています。
@ なぜなら、魚沼コシヒカリは、産出の量が地域限定された米ですので、
量が少なく、値段も高いので、混米(色々の米を混ぜる)して、
「魚沼コシヒカリ」と称して販売されているのです。
A この鑑定は、品種コシヒカリと他の品種の米の違いを明確にするのです。
(2)DNAは、その物(人)と他の物(人)を区別する遺伝子のことです。
@ 例えば、晃太さんと覚張よしひろは、顔の形やしぐさなどが違い、
この違いは、DNAが異なるからです。
A 血のつながりのある親子はDNAの基本が同じであるから似ているのです。
(3)農作物のDNAの
本当にコシヒカリであるのかどうかを確認するために行います。
@ 米のDNAは、米つぶの中の
コシヒカリの固有の形態や、粒の大きさや性質・味を伝える物質の
ことです。
A この物質の実態は「デオキシリボ
この
コシヒカリからコシヒカリへと正確に伝えられていくのです。
(4) DNAの鑑定は、化学的な方法(これは、高学年になったら学習します)で米の
中の
判断します。
@ あきたこまち米や他の米とコシヒカリでは、このDNAが異なります。
A このDNAの鑑定をすれば、米の袋に「コシヒカリ」となっていても、
コシヒカリといわれている米がニセモノの米か、本当のコシヒカリで
あるかを区別することができるのです。
(5)魚沼コシヒカリは、栽培の地域が特定されています。
@ 魚沼コシヒカリの栽培は、コシヒカリの種子を魚沼の気候、風土の同じ
傾向の地域を特定して栽培されています。
産地直送が本物の魚沼コシヒカリを食べる確かな方法です。
A カントリーエレベーターの貯蔵は、各生産者の「コシヒカリ」が
混米されて、消費者が求める「生産者の顔がわかる米」に残念ながら
ふさわしくないのです。
※ 晃太さん、私の説明でわかったでしょうか・・・・・?
第2の質問:「お米ができるまでの工夫」について
(1)お米の
@ 長野や東北・北海道の雪と違って、湿りけのある雪が、田んぼの土壌を
有効にしてくれる魚沼の風土があります。
又、同じ新潟県でも魚沼以外は雪が少ないのです。その雪が、
きれいな水を田をうるおしてくれます。
A 魚沼コシヒカリは、中山間地で面積が少ないところで作られています。
したがって、量がとれないのです。
その魚沼コシヒカリを一定の量を収穫しないとお金(生活できない)に
なりませんので、すこしでも多く生産するために、
土づくりに真剣にとりくんでいます。
そのために、
長い時間をかけて投入する有機肥料を中心に、肥料設計をして
田んぼに入れています。
B おいしい魚沼コシヒカリの栽培は@の土づくりを柱として、
気候の変動に対応した「水」の管理に苦労しています。
魚沼コシヒカリのおいしさは、夏の昼夜の温度差を維持することに
あります。
工場と違って、温度を一定にコントロール(エアコンを設置できない)
することはできませんので、「水」の管理でそれを実施するのです。
C 私は、朝、昼、夕と1日3回、田んぼに行って「水」の量と
質を管理します。
朝の水は冷たく、夕方の水は温かい、それをうまく利用して
田んぼに入れるのです。
(2)安心・安全な魚沼コシヒカリを消費者に届けるために、農薬を通常栽培の半分に
減らして栽培するための苦労があります。
どうしても気候の変動で病害虫の発生がさけられません。
それを防ぐために、殺菌剤などの農薬を使わない工夫に「水管理」と、
あぜ(田んぼの区切り土手)の草刈が大変です。
(3)魚沼コシヒカリの品質を確保するために、稲を
大変な苦労です。
米の量を確保するために追加有機肥料の散布が必要ですが、ちょっとした
手違いで(気候や生育具合を見誤り)量が多いと倒状(ころぶ)してしまうのです。
倒状すると、米の品質が劣るのです。
品質が悪いと、消費者へおいしい米を提供できないだけでなく、お金も少なく
なるのです(生活できなくなってしまう)。
(4)稲の刈り取りしたあとの
大変な苦労です。
水分14.5%〜15.5%の範囲内に仕上げないと米の保存に悪い影響があり、
米の値段も下げられ、お金にならないのです。(生活するお金にならない)
※ 私は、JA北魚沼広瀬地区特別栽培米生産者グループに属しています。
私たちの『魚沼コシヒカリ』は、魚沼コシヒカリの中でも、
特別な栽培方法で生産されていますので、その量はきわめて少なく、
『特別栽培米』と言う契約栽培で、一般に米屋さんには、ほとんど販売されて
いないと思います。
※ 晃太さん、私の説明でわかったでしょうか?
最後に
@ 日本は、農地があるのに、農家の田畑を強制的に減反させて、
国民1億2,000万人の40%分(4,800万人)しか自給できないのです。
自動車などの輸出でお金をかせいで、そのお金で食料を輸入
(外国から買っている)しているのです。
地球温暖化で、世界各地の農作物が不足になってきています。
お金で食料をいつまでも輸入できない状況が近く来ます。
A 日本の農業を守ることは、都会の空気(酸素)を守り、川の水質を守り、
海を守ることにつながります。
農家が安心して農業をやり、子供達を希望する大学に進学させることの
できる所得(給料・収入)になれば、農業をやりたい青年が
多くなると思います。
B 日本ほど農家をいじめている政治は、世界各国にありません。
全国民(消費者)は、本籍地(出身は)は農家です。
現住所は違っても・・・・。
農家と消費者が手をつないで、日本の食糧自給率をせめて70%に
もっていく、農家への思いを語って体験して欲しいものです。
C 私のホームページを見ていただきたいと思います。
私は56才です。妻は沖縄から新潟に来ています。
● 妻は、無農薬野菜を栽培して、家族の食卓へ提供してくれています。
● 孫は、中学1年生と小学5年生、1年生、1才の4人です。
※ 5年生の教科書の今井さんは、私の知り合いです。
晃太さんへ 機会があったら、新潟に遊びに来てください。
おいしい魚沼コシヒカリと野菜だけはたくさんあります。
お父さん、お母さんの出身はどちらですか?
※ 学校の先生とお父さん・お母さんによろしくお伝えください。
平成19年5月20日
ガク・グリーンファーム広瀬
代表 覚張よしひろ
TEL 025-792-5848(職場)
FAX 025-792-5233(職場)